专利摘要:
ひとつの実施態様において本発明は、IOLのカスタマイズ作製のための方法を提供する。幾つかの実施例において斯かる方法は、患者の眼球の1あるいはそれ以上の収差を測定するステップと、IOLの少なくとも一方の表面のプロファイルであって、それらの収差を改善かつ制御するというプロファイルを決定するステップとを必要とする。上記表面プロファイルは次に、たとえばエキシマ・レーザビームを利用して融蝕により、開始レンズ(もしくはレンズ素材)の表面に対して付与され得る。他の幾つかの実施例において、測定された収差は、ウェハ鋳型の少なくとも一方の表面のプロファイルを決定すべく利用され得る。その表面プロファイルを有するウェハ鋳型は次に、たとえば、適切な材料製のスラブもしくは既存のウェハを融蝕することにより作製され得ると共に、該鋳型は、患者の眼球内への埋込みに適したIOLを作製すべく使用され得る。
公开号:JP2011507627A
申请号:JP2010539826
申请日:2008-12-18
公开日:2011-03-10
发明作者:アール. カーソン,ダニエル;ジェイ. シンプソン,マイケル;ケー. ダス,カマル
申请人:アルコン,インコーポレイティド;
IPC主号:A61F2-16
专利说明:

[0001] 関連出願
本出願は、2007年12月21日に出願された米国仮出願第61/016,241号の優先権を主張するものであり、言及したことによりその内容は本明細書中に援用される。
本発明は概略的に、眼球用レンズを作製する方法に関し、より詳細には、眼内レンズ(IOL)のカスタマイズ作製のための方法に関する。]
背景技術

[0002] 眼内レンズは通常、白内障手術の間において患者の眼球内に埋込まれることで、生来的な水晶体に置き換えられる。IOLの光学度数(opitcal power)は一般的に、手術後において眼球が略々正視であるか、または、場合により僅かに近視となる様に特定される。しかし患者の眼球は、一定程度の光学収差を含む患者自身に固有の光学特性を有し得る。習用のIOLの光学特性は、特定の患者の眼球の光学的要求内容に合致していない。むしろ、斯かるIOLは概略的に、それらの光学度数により特定されるのであって、それらが提供し得る画像品質によってではない。一定の場合、乱視を矯正するために円環状のIOLも利用され得る。しかし、斯かるレンズは一般的に、僅かな範囲の乱視矯正に対して利用可能である。更に、それらは、患者の眼球内に存在し得る高次の結像収差に対処していない。]
先行技術

[0003] 米国特許第6,416,550号
米国特許第5,290,892号
米国特許第5,693,095号]
発明が解決しようとする課題

[0004] 故に、優れた視力矯正と、斯かる視力矯正に適した光学デバイスを作製する更に望ましい方法とを提供し得るIOLなどのための優れた設計態様に対する要望が在る。]
課題を解決するための手段

[0005] ひとつの実施態様において本発明は、患者の眼球の1あるいはそれ以上の収差を測定するステップと、それらの測定値に基づいて鋳型ウェハの少なくとも一種類の表面プロファイルを決定するステップと、鋳型ウェハの少なくとも一方の表面を融蝕し、上記表面に対してそのプロファイルを付与するステップと、上記鋳型を利用し、上記患者の眼球内への埋込みに適したIOLを、たとえば型成形プロセスにより作製するステップとを備えて成る、眼内レンズ(IOL)を作製する方法を提供する。単一枚のレンズを作製するために典型的には一対の鋳型ウェハが使用され、その後にそれらは廃棄され、且つ、それらはポリプロピレンの如き種々の材料で形成され得る。]
[0006] 関連する実施態様において、上記鋳型ウェハを融蝕するための例えば流束などの融蝕パラメータは、上記鋳型ウェハが作成された材料の特性に基づいて決定され得る。一例として、ポリプロピレンで形成された鋳型ウェハを利用するときには、たとえば約100mJ/cm2〜約800mJ/cm2の範囲内である約100mJ/cm2より大きな放射線流束が採用され得る。]
[0007] 別の実施態様においては、患者の眼球の1あるいはそれ以上の収差を測定するステップと、光学デバイスのための1あるいはそれ以上の表面プロファイルを決定するステップと、上記各表面プロファイルを有するデバイスを作製すべく、ポリマ材料で形成された基材を融蝕するステップとを備えて成る、IOLの如き光学デバイスを作製する方法が開示される。上記基材は開始レンズ(またはレンズ素材)とされ得、その少なくとも一方の表面は、それを患者の眼球内に埋込むべくカスタマイズするために融蝕され得る。]
[0008] 関連する実施態様において、上記基材(たとえばレンズ素材)は、Acrysof(登録商標)、ヒドロゲルまたはシリコーンの如きポリマ材料で形成され得る。上記基材の材料特性に基づき、1あるいはそれ以上の融蝕パラメータが選択され得る。たとえば、上記基材がAcrysof(登録商標)で形成されるとき、上記融蝕用放射線の流束は、約10mJ/cm2〜約600mJ/cm2の範囲内、好適には約200mJ/cm2〜約500mJ/cm2の範囲内とされ得る。]
[0009] 以下に簡単に説明される添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、本発明の更なる理解が得られよう。]
図面の簡単な説明

[0010] IOLを作製する本発明に係る方法の幾つかの実施例を実施する種々のステップを示すフローチャートである。
特定の患者に適したIOLを作製するためにカスタマイズされた鋳型ウェハを獲得すべく融蝕によりプロファイルが調節され得るという凹状表面を有する鋳型ウェハの概略断面図である。
本発明の種々の方法を実施するために使用され得るエキシマ融蝕システムの概略図である。
最初に当該開始IOLを作製すべく使用されるひとつの鋳型ウェハ内に、カスタマイズ融蝕のために自身の前部表面を露出して保持された開始IOLの概略断面図である。
自身の基本的融蝕特性を決定するために融蝕され得るレンズ材料のスラブ(slab)の概略図である。
例示的な実験においてポリプロピレン・スラブ鋳型ウェハに適用される融蝕スポットの概略的レイアウトを示す図である。
5通りの異なる流束に対する種々のパルス数の関数として、パルス毎の融蝕深度に対応するポリプロピレンのデータを示す図である。
異なるパルス数に対する流束の関数として、パルス毎の融蝕深度に対応するポリプロピレンのデータを示す図である。
流束の関数として、Acrysof(登録商標)、Acrysof NaturalおよびPMMAに対する融蝕率の比較データを示す図である。
夫々の公称(設定した)変化に対し、融蝕によりAcrysof(登録商標)ウェハにおいて引き起こされた実際のジオプトリ変化を示すグラフである。]
実施例

[0011] 本発明は概略的に、眼球用レンズのカスタマイズ作製のための方法に関する。以下において論じられる実施例は概略的にIOLの作製に関しているが、本発明の教示は擬水晶体、角膜実質内レンズおよびコンタクトレンズの如き他の眼球用レンズの作製に対して適用され得る。更に、眼内レンズおよびその略語“IOL”は本明細書において、眼球の内部に埋込まれることで、その眼球の生来的な水晶体に置き換わり、または、生来的な水晶体が除去されるか否かに関わらずに視力を別様に増強し得る水晶体を記述すべく互換的に使用される。]
[0012] 幾つかの実施例においては、当該眼内レンズが埋込まれる患者の眼球の固有の光学的要求内容に該レンズが対処する様に表面プロファイルを調節すべく、アクリル材料の如き可撓ポリマ材料で形成されたレンズ(もしくはレンズ素材)の表面を、たとえばエキシマ・レーザビームを介して選択的に融蝕することにより、カスタマイズIOLが作製され得る。一例として、幾つかの実施例において上記レンズ(もしくはレンズ素材)は、2-フェニルエチル・アクリレートと2-フェニルエチル・メタクリレートとの架橋共重合体であって一般的にAcrysof(登録商標)として知られるという架橋共重合体で形成され得る。Acrysof(登録商標)材料は、融蝕用放射線に露出されたときに潜伏現象を呈することが見出されている。他の材料に対しては、初期のレーザ・パルスにより除去される材料の量が後時のパルスにより除去される材料の量と異なるという潜伏性が観察されているが、このことはこれまでにAcrysof(登録商標)に対して確認されてはいなかった。但し、これに加えて、Acrysof(登録商標)基材の或る箇所から融蝕パルスにより除去される材料の量は、局所的流束と、その箇所における融蝕用放射線流束の従前履歴との両方により変化することは確認されていた。以下において更に詳細に論じられる如く、表面の所定領域の全体に亙る一定流束に対して定義される潜伏特性は、局所的流束が単射毎に変化するならば単一箇所において累積的融蝕が有する影響を反映すべく改変されねばならない。このことは、光学品質表面を融蝕するために走査レーザスポットが使用される場合に重要であり、且つ、光学的に円滑な表面を生成するために例えば流束などの融蝕パラメータを選択するときに考慮されねばならない。一例として幾つかの実施例においては、レンズ(もしくはレンズ素材)の表面が融蝕され、次に表面プロファイルが測定され、且つ、存在し得る表面プロファイル誤差が観察されて必要とされるなら、該表面は再び融蝕されることで上記誤差が修正される。この反復的処理は、存在し得る表面不均一性であって、所望のスレッショルド値より小さいという表面不均一性を有する表面プロファイルに到達するために必要な回数だけ反復され得る。]
[0013] 融蝕用レーザビームに対してレンズの位置を堅固に保持することが好適であることも見出されている。一例として幾つかの実施例において、このことは、2枚のウェハであって、それらの間において当該レンズが最初に型成形されたという2枚のウェハの内の一方のウェハ内に該レンズを保持し、且つ、融蝕されるべきレンズ表面を露出すべく他方のウェハを取り外すことにより達成され得る。一定の他の実施例において、レンズは、適切な固定具により融蝕用レーザビームに対して固定され得る。]
[0014] もし融蝕エネルギが大きすぎると、レンズは該レンズが折り曲げられたときに表面亀裂を蒙り得ることも見出されている。故に、以下において更に論じられる如く、融蝕エネルギは斯かる表面亀裂を回避すべく好適に選択されるべきである。]
[0015] 一定の他の実施例においては、患者の眼球における使用のためにレンズをカスタマイズすべくレンズ表面を融蝕するのではなく、その患者に対してカスタマイズされたレンズを作製し得る表面プロファイルを生成すべく患者の眼球の測定済み収差に基づき、鋳型ウェハの表面が融蝕され得る。該ウェハは、たとえば他のウェハと組み合わせて使用されることで、たとえば型成形プロセスを介してレンズを作製し得る。故に一定の場合、特定の患者に対して一方がカスタマイズされたという2枚のウェハが、レンズを作製すべく利用され得る。カスタマイズされたウェハは、別の患者に対するレンズを作製し得る別のウェハにより置き換えられるべく、使い捨て可能とされ得る。上記鋳型ウェハは、たとえば、ポリプロピレンの如き適切な軟質ポリマ材料から形成され得る。ポリプロピレンもまた、ポリプロピレン・ウェハを融蝕するときに考慮される必要がある潜伏現象を呈することが見出されている。]
[0016] 図1のフローチャート10を参照すると、眼内レンズを作製する本発明の方法の一実施例においては、患者の眼球の1あるいはそれ以上の収差が測定される(ステップ1)。斯かる収差は、限定的なものとしてで無く、非点収差、コマ収差、球面収差、トレフォイル収差などの対称的および/または非対称的な複数の収差から成り得る。収差の測定は、擬水晶体または水晶体のインプラントに対して為され得る。一定の場合、前者に対しては角膜の収差情報が使用され得ると共に、後者に対しては眼球全体の収差情報が使用され得る。各収差を測定すべく、種々の技術および機器が採用され得る。一例として、眼球の収差を測定すべく、ハルトマン−シャック波面センサが利用され得る。斯かるセンサにおいて、焦点合わせされた光による網膜点の照射に応じて眼球を出射する光は、小寸レンズの配列へと導向され、該小寸レンズの各々は、自身上に入射する光の画像を、たとえばCCDカメラなどの検出器上に生成する。これらの画像は業界公知の手法で解析されて戻り波面を復元し得ることから、眼球の1あるいはそれ以上の収差を決定し得る。多くの実施例において、復元された波面は、単位円上における一群の直交多項式を構成する複数のゼルニケ多項式の合計として表現され得る。各多項式の係数は、異なる収差形式に対応する。一例として、復元された波面(Z(ρ,θ))は、以下の様式で表現され得る:] 図1
[0017] ]
[0018] 式中、
ρおよびθは夫々、正規化半径および方位角を表し、
Ziは、i次のゼルニケ多項式を表し、且つ、
αiは、i次のゼルニケ係数を表す。]
[0019] 上記収差情報は鋳型ウェハのカスタマイズ作製のために利用され得ると共に、該鋳型ウェハは、患者の眼球内への埋込みのために対応IOLを作製すべく採用され得る。代替的に上記収差情報は、患者のために(たとえば、IOLレンズもしくはレンズ素材のひとつ以上の表面の融蝕を介して)IOLをカスタマイズすべく採用され得る。]
[0020] たとえば、引続きフローチャート10を参照すると、次続的なステップ(2)においては、その患者の眼球内への当該IOLの埋込みによりこれらの収差が制御されるというIOLを生成するに適した例えばポリマ鋳型である鋳型ウェハの少なくとも一方の表面プロファイルが決定される。上記鋳型は概略的に、任意の適切な材料で形成され得るが、それはポリプロピレンの如きポリマ材料で形成され得る。]
[0021] 上記鋳型の所望の表面プロファイルが一旦決定されたなら、鋳型ウェハの少なくとも一方の表面は、それがその表面プロファイルに整合する如く、たとえばエキシマ・レーザにより融蝕され得る(ステップ3)。上記鋳型は次に、所望の表面プロファイルを有するIOLを作製すべく業界公知の様式で利用され得る(ステップ4)。一例として多くの実施例において上記鋳型は、たとえば標準的な洗浄の後で、Acrysof(登録商標)として知られるフェニルエチル・アクリレート/フェニルエチル・メタクリレートの如き生体適合性ポリマ材料からIOLを型成形すべく採用され得る。この様にして、IOL埋込みの後で患者の眼球の光学的性能を最適化し得るべく個人にカスタマイズされたIOLが作製され得る。]
[0022] 更なる例示として、図2は、選択された曲率半径を有する回転対称的な表面を表す凹状表面14を有する開始ポリマ鋳型12を概略的に示している。鋳型12の開始表面14は融蝕により更に形状化されることで、特定の患者の眼球の収差を矯正するに適した鋳型表面に到達し得る。たとえば上記融蝕は表面14に対し、所望の屈折力を提供するだけでないIOLであって、球面収差もしくはトレフォイル収差の如き患者の眼球の1あるいはそれ以上の高次収差の矯正も行い得るというIOLを生成するに適したプロファイルを付与し得る。当業者であれば、斯かる技術は、非点収差の如き他の種類の収差を矯正するIOLを作成するためにも使用され得ることを理解し得よう。] 図2
[0023] 鋳型12の斯かる融蝕は、たとえば、エキシマ・レーザ・システムを利用することにより達成され得る。一例として図3は、エキシマ・レーザ18と、たとえば約193nmの波長にてレーザビーム20を提供すべく関連付けられた焦点合わせ光学機器とを含む如きシステム16を概略的に示している。本発明を実施する上では、種々のエキシマ・レーザが使用され得る。斯かるレーザは、たとえば平坦頂部もしくはガウス状などの種々のビーム断面プロファイルを提供し得る。一例として、米国ニューハンプシャー州のレゾネティクス社(Resonetics, Inc.)により販売され、193nmで作動すると共に平坦頂部のレーザビームを提供するエキシマ・レーザ・システムが採用され得る。代替的に、米国テキサス州、フォートワースのアルコン・ラボラトリズ社(Alcon Laboratories, Inc.)によりLADARVisionの商標名で販売されているエキシマ・レーザが利用され得る。] 図3
[0024] 引続き図3を参照すると、鋳型12は、その表面14がレーザビームに晒される如く、該ビームの経路内でサンプルホルダ22上に載置され得る。レンズもしくはレンズ素材が融蝕される一定の他の実施例において上記サンプルホルダは、たとえば複数個の融蝕用放射線パルスの衝当の結果としてのレンズの不都合な移動を阻止すべく、レンズの位置的固定を好適に提供し得る。代表的なシステム16は更に、上記鋳型の表面のレーザ融蝕の結果として引き起こされるポリマ破片の除去を促進する複数本の真空ライン24aおよび24bを含んでいる。この場合にホルダ22は、事前プログラムされたパターンに従い2つの次元において上記鋳型を移動させ得るX-Y並進載物台24であって、上記鋳型の表面12の選択部分の融蝕を引き起こすことにより所望の鋳型輪郭形状を生成するという載物台24上に配設される。代替実施例においては、レーザビームに対して鋳型を移動させるのではなく、事前プログラムされたパターンに従い鋳型の表面の全体に亙りビーム自体が移動されることで、該表面の選択的融蝕が引き起こされる。斯かるエキシマ・レーザ・システムは、上述のLADARVisionエキシマ・レーザの如く市販されており、且つ、角膜レーザ矯正に対して通常的に採用されている。上記光学表面は典型的には選好的な配向を有すると共に、上記ウェハは適切な固定具を用いて中心合わせされ且つ配向され得る。] 図3
[0025] 所望の鋳型表面プロファイルに到達するために、複数の融蝕パターン(たとえば、複数の渦巻きパターン)が利用され得る。幾つかのパターンにおいては、隣接する2つ以上の融蝕領域同士の間における隆起部の発生を回避すべく、これらの領域が重ね合わされることで、更に円滑な最終表面を提供し得る。種々の光学収差修正に適した融蝕パターンは、角膜レーザ矯正法において公知であり、且つ、本発明の種々の実施例を実施する上で容易にカスタマイズされ得る。]
[0026] 鋳型ウェハ12を融蝕するための放射線流束は、該鋳型が形成される材料に基づいて選択され得る。一例として、鋳型がポリプロピレンで形成されるという幾つかの実施例において、上記鋳型を融蝕するための流束は、約100mJ/cm2より大きくなるべく選択される。たとえば斯かる流束は、約100mJ/cm2〜約800mJ/cm2の範囲内とされ得る。]
[0027] 上記の代表的実施例において開始鋳型表面12は凹状の輪郭形状を有しているが、他の実施例において、融蝕されるべき開始鋳型表面は平坦とされ得るか、または、それは凸状表面を有し得る。各鋳型表面の内の少なくとも一方は、たとえば上述の様式で融蝕されることで、特定の患者に対してカスタマイズされたIOLの対応表面を形状化するに適した輪郭形状を有する鋳型表面を提供し得る。]
[0028] 一定の場合、IOLの前部表面はひとつの鋳型ウェハにより形状化され得ると共に、その後部表面は別の鋳型ウェハにより形状化され得る。それらのウェハの少なくとも一方は、特定の患者の要求内容に基づく融蝕により達成されたプロファイルを有する表面を含み得る。上記2枚のウェハは、業界公知の様式で採用されることで、適切な生体適合材料からIOLを作製し得る。たとえば上記各ウェハは、ポリプロピレンで形成され得ると共に、Acrysof(登録商標)として知られるフェニルエチル・アクリレート/フェニルエチル・メタクリレート・ポリマ材料から、型成形プロセスを介してIOLを作製すべく採用され得る。]
[0029] 再び図1のフローチャート10を参照すると、代替実施例においては、IOLのカスタマイズ作製に適した鋳型を達成すべく該鋳型を選択的に融蝕するのではなく、特定の患者の視覚的要求内容に対処し得るIOLをレンズ素材から形成すべく、開始レンズのひとつ以上の光学表面が融蝕されることで、これらの表面に対してカスタマイズプロファイルが付与され得る。更に詳細には、測定された単一種類もしくは複数種類の収差は、作製されるべきIOLの少なくとも一方の表面のプロファイルを決定すべく利用可能であり(ステップ5)、これは収差の制御を促進するものである。引き続き、レンズ(もしくはレンズ素材)の少なくとも一方の表面は、その表面に対して上記プロファイルを付与すべく融蝕され得る(ステップ6)。] 図1
[0030] 一例として図4は、Acrysof(登録商標)で形成されると共に前部表面26aおよび後部表面26bを含む如き開始レンズ素材26を概略的に示しており、該表面の一方もしくは両方は、患者の視覚的要求内容を矯正するに適したIOLを生成すべくレーザ融蝕により形状化され得る。この場合に開始レンズ26は、特定の患者に対してカスタマイズされるべく調節され得る公称光学度数を該レンズに提供する湾曲表面を含んでいる。これに加え、上記表面は、患者の眼球の1あるいはそれ以上の高次収差に対する矯正を提供すべく更に形状化され得る。] 図4
[0031] 依然として図4を参照すると、この例においては、上記2つの鋳型ウェハの一方(鋳型28)であって、レンズ26が当初に型成形されたという鋳型内に該レンズが留まり乍ら、該レンズ26の前部表面はたとえばエキシマ・レーザにより融蝕され得る。この例において上記開始レンズは、Acrysof(登録商標)で形成されていると想定される。Acrysof(登録商標)は、融蝕パルスに晒されたときに潜伏現象を呈することが確認されている。換言すると、除去される材料の量は、融蝕および照射の従前履歴に基づいて変化し得る。たとえば幾つかの実験において、初期融蝕パルスは、同一エネルギを有する後時のパルスよりも多くの材料を除去することが見出されている。更に、可変的な強度プロファイルを有する走査融蝕レーザスポットに対してAcrysof(登録商標)材料が晒されたとき、除去される材料の量は、一定流束の実験からは予想されない様式で、上記スポットの全体に亙る強度変化により影響され得ることが見出されている。たとえば、Acrysof(登録商標)表面をガウスビームに晒したとき、該ビームの更に明るい中央領域は、更に弱い周縁ビームよりも大きな割合にて融蝕を引き起こす。但し、局所的な除去割合は、同等の流束を有する矩形ビームによる上記表面の融蝕に対応するデータから予想される処とは異なり得る。また、大きすぎる融蝕エネルギでAcrysofレンズ表面を融蝕すると、結果的なレンズは折り曲げおよび展開時に微小亀裂を呈し得ることも見出されている。] 図4
[0032] 上記の各要因は、たとえば193nmの波長にて作動するエキシマ・レーザによりレンズ表面26aの如きAcrysof(登録商標)レンズ表面を融蝕するときに考慮されるべきである。一例として、Acrysof(登録商標)レンズ(もしくはレンズ素材)が融蝕されて特定の患者に対してレンズをカスタマイズするという多くの実施例においては、約200mJ/cm2〜約500mJ/cm2の範囲内の放射線流束が採用され得る。上記流束の選択は、放射線ビームの強度プロファイルにより影響され得る。たとえば、193nmの波長におけるガウス・レーザビームに対し、Acrysof(登録商標)レンズ(もしくはレンズ素材)を融蝕する放射線流束は約10mJ/cm2〜約600mJ/cm2の範囲内、好適には約200mJ/cm2〜約500mJ/cm2の範囲内とされ得る。Acrysof(登録商標)レンズ(もしくはレンズ素材)を融蝕すべく、矩形の強度プロファイルを有するエキシマ・レーザビームが利用されるという幾つかの実施例において、放射線流束は約200mJ/cm2〜約500mJ/cm2の範囲内とされ得る。]
[0033] 上記開始レンズもしくはレンズ素材が形成されるポリマ材料は、Acrysof(登録商標)に限られず、概略的には、任意の適切な生体適合性ポリマ材料とされ得る。斯かるポリマ材料の他の幾つかの例としては、限定的なものとしてで無く、ヒドロゲルおよびシリコーンが挙げられる。更なる例として、言及したことにより本明細書中に援用される特許文献1は、上記IOLを形成するに適した材料を開示している。たとえば融蝕パルス毎に除去される材料の体積などの、斯かる材料の材料特性は、融蝕パターンを計算する上で考慮されねばならない。レンズが疎水性ポリマ材料により形成されるという幾つかの実施例において、融蝕用放射線の流束は約10mJ/cm2〜約1,000mJ/cm2の範囲内とされ得る。]
[0034] 上記の場合においてレンズ26の前部表面および後部表面は、開始レンズが公称光学度数を提供することにより、特定の患者に対してレンズをカスタマイズすべく除去される必要のある材料の量を最少化する如く、湾曲される。他の幾つかの例においては、平坦表面を有するレンズ素材が融蝕されることで、患者に対してカスタマイズされたIOLが提供され得る。先行実施例と同様に、患者の眼球の複数種類の収差が測定され得ると共に、レンズ素材のひとつ以上の表面が融蝕されることで、その患者の眼球内に埋込まれたときにこれらの収差を制御し得るIOLが提供され得る。一例として、レンズ素材の単一もしくは複数の表面の斯かる融蝕によれば、結果的なレンズに対し、所望の光学度数が付与され得ると共に、必要であれば、上記眼球の1あるいはそれ以上の高次収差を矯正するために上記レンズの単一もしくは複数の表面が形状化され得る。]
[0035] 一定の場合、レンズもしくはレンズ素材のひとつ以上の表面の融蝕に続き、これらの表面のプロファイルが測定され得ると共に、必要であれば表面プロファイル誤差を低減すべく、これらの表面は更なる融蝕に委ねられ得る。このプロセスは、たとえば、表面プロファイルが(たとえばP-VまたはRMSとして定義される)選択スレッショルド値より小さい表面不均一性を呈するまで、円滑なレンズ表面に到達するに必要な回数だけ反復され得る。]
[0036] 幾つかの場合、レンズ(もしくはレンズ素材)の表面に対し、または、鋳型ウェハの表面に対しては、該表面を形状化融蝕パルス(表面に対して選択プロファイルを付与すべく設計されたパルス)に露出した後で、所定パターンの修正用融蝕パルスが印加されることで、所定のパルス・パターンに基づいて表面不均一性が低減され得る。斯かるパルス・パターンは、同一材料により形成されると共に同等の表面を有する基材を利用し、その表面を同様のパターンの形状化用融蝕パルスに露出し、且つ、引き続いて表面プロファイルにおける不均一性を測定することにより決定され得る。次に、これらの不均一性を低減すべく、融蝕パルスの修正パターンが決定され得る。この修正パターンが一旦決定されたなら、該パターンは、輪郭形状を形状化/調節すべく同一パターンの形状化用融蝕パルスに委ねられた他の同等の基材に対し、個別的な各基材に対して不均一性を測定する必要なしで、適用され得る。]
[0037] 更に、幾つかの場合、残存する表面誤差のパターンは、類似種類の融蝕に対して同様とされ得る。その故に、一枚の基材に対して決定された融蝕の修正パターンは、必ずしも同一でない類似の融蝕パターンに委ねられる他の基材に対して適用され得る。]
[0038] 幾つかの場合、特定のスポットプロファイルを用いる複数回の融蝕の1あるいはそれ以上の特性は、決定されてから、たとえばモデル化計算により使用されることで、走査スポットに対する最適な融蝕用単射パターンが決定され得る。]
[0039] 幾つかの場合、たとえばAcrysof(登録商標)表面などのポリマ表面の融蝕は、一切のふたつの融蝕群の間における休止期間(すなわち、パルスが印加されない期間)を以て複数群の融蝕パルスを表面に対して印加することにより達成され得る。斯かる休止期間によれば、(異なる融蝕群の間における)融蝕作動期間同士の間における材料の回復が許容されると共に、必要であれば、煙条除去も許容される。たとえば走査融蝕スポットは、融蝕のパターンを生成すべく基材表面上で所定パターンで移動され得る。これは、休止期間により追随され得る。次に、走査融蝕スポットが再び基材上で移動されることで、融蝕が引き起こされ得る。このプロセスは、上記表面の所望プロファイルが達成されるまで反復され得る。]
[0040] 一定の場合において、それらの間においてレンズが最初に型成形されたという2つの鋳型ウェハの内の一方から該レンズが取り外される前に、レンズ表面は患者の要求に合わせてカスタマイズのために融蝕され得る(たとえば、図4を参照)。これにより、多くの利点が提供される。たとえば、上記レンズはウェハに対して堅固に取付けられ得ると共に、それは融蝕走査用レーザビームに対して正確に位置決めされ得る。融蝕された材料は、業界公知である標準的なレンズ洗浄技術を利用して除去され得る。上記レンズは次に、標準的な技術を採用することにより上記ウェハから抜き出され得る。次に、たとえばプラズマ処理などの他の標準的な処理ステップが適用され得る。他の代替実施例において、レンズは作製プロセスにおいて完成レンズとしてさえも融蝕され得る。一定の場合には、融蝕生成物の除去および無菌性の維持に注意を払い乍ら、レンズの埋込みの直前においてさえもカスタマイズされた融蝕が実施され得る。] 図4
[0041] 上記の各実施例においては、単焦点IOLに関して本発明の種々の実施態様が論じられたが、本発明の教示は多焦点IOLに対しても適用されて該IOLを患者の眼球における使用のためにカスタマイズし得る。一例として、斯かる多焦点IOLは、前部表面および後部表面を含み得る。該レンズが遠焦点光学度数だけでなく近焦点光学度数も提供する如く、該レンズの前部表面上には複数の回折構造が配設され得る。一例として、斯かる場合に上記レンズの後部表面は、特定の患者の要求に合わせて該レンズをカスタマイズさせるために例えば上述の様式で融蝕され得る。]
[0042] 本発明の教示は、標準的なIOLの光学度数の微調整を提供するためにも採用され得る。たとえば、指定されたレベルおよび配向の円柱度数が提供され得るか、または、指定された大きさの非球面性がレンズに対して付加され得る。]
[0043] 本発明の上記レンズ作製方法は、患者もしくは医師の個別的な要求を満足すべくレンズの光学特性を改変する融通性を提供する。たとえば斯かるレンズは、個々の患者の球面度数、円柱誤差、球面収差、および、高次収差に対して個人にカスタマイズされた矯正を行い得る。更に、多くの場合、レンズの型成形、殺菌およびパッケージ化の標準的方法が利用され得る。]
[0044] 以下の各実施例は、本発明の種々の実施態様を更に例証するために提供される。各実施例は例示目的でのみ呈示されると共に、必ずしも、本発明を実施する最適な様式、または、上記鋳型もしくはIOLが作製され得る最適な材料を示すことは意図されていないことを理解すべきである。特に、記述された方法は、特許文献2および特許文献3に夫々記述されたAcrysof(登録商標)材料(後者は以下において“Acrysof II”と称される)などの多数の軟質アクリルIOL材料に対して適用され得る。当業者であれば明らかである如く、これらの材料は、本明細書において“Acrysof Natural”もしくは“Acrysof II Natural”と称される発色材料と結合され得る。]
[0045] 実施例1:
レンズ材料および鋳型ウェハ材料の基本的な融蝕特性が、材料の“スラブ”と、対応するスラブ・ウェハ鋳型とを用いて決定された。図5は、材料のスラブを概略的に示している。193nmで作動するエキシマ・レーザを採用することにより、ポリプロピレン・スラブ鋳型が融蝕された。各鋳型は、約31mmの直径を有する円形ディスクであって、中央に1mm深さで20mm×10mmの矩形凹所を備えるという円形ディスクの形態であった。上記ポリプロピレン鋳型は、プラズマ処理されなかった。種々のレーザ・パルス個数および種々の流束により、10個のポリプロピレン・スラブ鋳型が融蝕された。各サンプルは、塵埃および汚染を回避するために、使用されないときは同一直径のポリプロピレン・ディスクにより覆われた。] 図5
[0046] 融蝕のために、193nmの放射波長および60Hzのパルス反復速度とされたラムダ・フィジク社(Lambda Physik)(ドイツ、ゲッティンゲン)からのパルス式紫外線(UV)エキシマが使用された。該レーザは、約±5%のエネルギ変動を以て、実質的に均一なビームプロファイルを提供する。ビームを制限すべく、レーザの射出平面にはマスクが使用された。該マスクの画像は、試験片の表面に形成される。幾つかの実験パラメータの概略は、以下に示される:]
[0047] 縮小化:8.76×
レンズ:マスクの前におけるf=200mmのレンズ
支援気体:目標物から約5mmにおける二重ノズルからの真空吸引
流束:以下の表Xは各スラブを融蝕すべく使用された流束値を提供する。
ツール:基材は、カプトンテープにより手動Z-載物台に取付けられた。レーザと作業区域との間には可変減衰器が取付けられた。
マスク:約0.110インチ×約0.352インチに設定されたRVA
スポット寸法:約0.32mm×1.02mmの矩形
レーザ・パルス速度:60Hz]
[0048] 図6は、円形の内側の大寸の矩形であって融蝕領域を表すという矩形によるポリプロピレン・スラブの概略的レイアウトを示している。大寸矩形の内側の各小寸矩形は、融蝕領域もしくはスポットを表している。各行が18個の融蝕スポットを含むという異なる4行の融蝕スポットが利用された。頂部の垂直な帯状体は、行内における夫々のスポットに対して印加されて融蝕スポットを生成するパルスの個数を表している。この実験における全てのスラブに対し、各スポット間の水平ピッチは約0.9mmであり、且つ、各スポット間の垂直ピッチは約1.6mmとされた。各サンプル上で各融蝕スポットは、一貫して良好に順序付けられた直線状の配列で布置された。各スラブ上の第1スポットは多くのパルス(200個のパルス)に晒されることで、融蝕後の測定が促進された。] 図6
[0049] 上記プロピレン・スラブ鋳型を融蝕すべく20通りの異なるレーザ・流束が使用された。これらの流束値を導くために、試験片表面におけるレーザ・エネルギを測定すべくMolectron(登録商標)パワー検出器が使用された。次に流束は、測定されたレーザ・エネルギを既知の融蝕面積で除算することで導出された。(レーザ出力は、故に測定されたエネルギは、約±5%で変動した。流束値は一定の残差も有し得る、と言うのも、公称フィルタリング値は実際の値と異なり得るからである。)]
[0050] 融蝕されたスラブの融蝕深度プロファイルを測定するために、Form Talysurf側面計が採用された。該側面計は、10nm(0.01ミクロン)の高さ分解能を有していた。該分解能値は、これらの実験において評価された融蝕深度よりも小さい。各融蝕領域の深度を決定すべく、特製ソフトウェアが使用された。各レーザ・流束におけるパルス毎の融蝕深度(ミクロン/パルス)は、側面計のデータから算出された。同様に、融蝕された全てのポリプロピレン・スラブに対する融蝕深度は、全てのレーザ・流束にて解析された。]
[0051] 図7Aは、250、350、450、650および950mJ/cm2という5通りの異なる流束に対する種々のレーザ・パルスの関数として、パルス毎の融蝕量(μm/パルス)を示している。図7Bは、異なるパルス数に対する流束の関数として、ポリプロピレン融蝕率データを示している。上記データは、最初のレーザ・パルスから100個のレーザ・パルスまでは融蝕率が増加することを示唆する一方、このことは、ポリプロピレン材料に対する強い“潜伏”効果を示唆している。エネルギが飽和量より大きいとき、100個以上のパルスに対して融蝕率は変化しないと思われる。しかし融蝕率は、エネルギが飽和量より小さいときには100個以上のパルスに対して減少すると思われる。] 図7A 図7B
[0052] 実施例2
193nmおよび60Hzの反復速度で作動する上述のラムダ・フィジク社(ドイツ、ゲッティンゲン)のエキシマ・レーザを採用することにより、以下の3つの種類のレンズ材料のスラブが融蝕された:Acrysof、Acrysof Natural、および、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)。上記の図3は、上記融蝕実験を行うべく採用された実験設備の概略的レイアウトを示している。融蝕副生成物を吸引除去すべく、且つ、表面上の再析出を最少化すべく、破片除去用の一対の真空ノズルが使用された。ビームを制限すべく、レーザの射出平面にてはマスクが使用された。該マスクの画像は、試験片の表面に形成された。線形運動のために、X-Y載物台が使用された。サンプル表面における(mJ単位の)レーザ・エネルギを測定すべく、Molectron(登録商標)パワーメータが使用された。レーザ出力の測定値は、約±5%以下のレーザ・エネルギ変動を示唆した。レーザ・流束(mJ/cm2)は、各材料の融蝕に対し、エネルギを融蝕面積で除算することにより求められた。流束レベルの精度は、レーザ・エネルギを一定レベルに安定化させると共に、適切なフィルタ組み合わせを用いることで達成された。レーザ出力(故に、測定されたエネルギ)は約±5%だけ変動し、且つ、サンプルにおけるエネルギおよび流束を算出すべく利用された公称フィルタ値もまた、夫々の実際値とは幾分か異なり得た。] 図3
[0053] 融蝕されたサンプルから表面プロファイルデータを獲得するために、Form Talysurfスタイラス側面計が使用された。この側面計は、評価される融蝕領域の深度より小さい0.01ミクロン(10nm)の高さ分解能を有することから、融蝕深度の測定精度を確実とする。]
[0054] 図8は、Acrysof(登録商標)、Acrysof NaturalおよびPMMAに対する流束の関数として、80個のレーザ・パルスに対する融蝕率の比較を提供する。該データは、PMMAは融蝕に対して(約100mJ/cm2だけ大きい)更に大きなスレッショルド・エネルギを要することを表している。但し、それは、上記スレッショルド値を超えた流束においては、Acrysof(登録商標)およびAcrysof(登録商標)Naturalよりも容易に融蝕され得る。AcrysofおよびAcrysof Naturalの両方に対する約0.18ミクロン/パルスと比較して、PMMAに対するパルス毎の材料除去量は約0.4ミクロン/パルスである。] 図8
[0055] 実施例3
Acrysof(登録商標)で形成されたレンズ表面上のレンズ度数の変更と少量の収差の修正との両方のために、アルコン社(Alcon, Inc.)(本出願の譲受人)のLADARVision(登録商標)4000エキシマ・レーザ・システムが使用された。レンズ融蝕のためのサンプルは、2枚のポリプロピレン鋳型ウェハ間に型成形されたAcrysofであって、次に一側から剥離されたというAcrysofから成るレンズ素材であった。これらのサンプルは硬化されたが抜き出されはせず、且つ、それらは正常値よりも大きな作製誤差を有することで、収差の修正に対する機会を提供した。殆どのサンプルは、幾分かの非点収差を含め、6.0mm直径の表面の全体に亙り、3本〜6本の縞を有していた。]
[0056] LADARVision(登録商標)4000は、基本的に角膜を融蝕すべく設計された臨床的レーザ・システムである。そのソフトウェアは、角膜およびPMMAの両方の融蝕特性を組み込んでおり、それらは、レーザ・流束(mJ/mm2単位)に対する融蝕深度の曲線として記憶されている。システム・ソフトウェアは、ユーザがビーム・パラメータを指定することも許容する。該システムは、レーザのパルス毎に除去される材料の理論的体積、または、単射毎の体積(VPS)を用いて、角膜に対する矯正パターンを算出する。それは、強化手順の間においてマイラ(Mylar)断片上で融蝕されたスポットの寸法を測定することにより、レーザにより除去される角膜物質のVPSを算出する。上記システムは、上記VPSと、印加された単射の個数とを乗算することにより、除去された角膜組織の体積を算出する。近視、遠視および乱視の各処方に対して如何ほどの体積の組織が除去される必要があるかは既知であることから、上記システムは単に、各融蝕部位において必要とされる単射の回数を算出し得る。与えられたレーザ・エネルギおよびビームプロファイルに対し、上記システムのソフトウェアは、所望の表面プロファイル変化を実現するために十分な物質を除去するために必要なVPSおよび単射パターンを算出する。結果的な単射パターンは、記憶されると共に、上記レーザ・システムを制御すべく使用され得る。]
[0057] レンズ素材を融蝕するための単射パターンを算出するために、LADARVision(登録商標)レーザ・システムを利用することでAcrysofに対するVPS値が測定された。測定は、標準的なAcrysofスラブを採用することで行われた。LADARVision(登録商標)システムに対し、一辺が4ミリメートルとされた4個のスポットの正方形で布置された複数回の単射を生成するスポット・パターン・ファイルが作成された。上記の4つの箇所は、夫々、50、100、150および200個のレーザ単射に対応した。上記パターンはLADARVision(登録商標)システムにロードされ、且つ、各サンプルは1.35mJのエネルギおよび60Hzの単射反復速度にて融蝕された。ビーム・エネルギは、Molectron(登録商標)パワーメータを採用することにより確認された。]
[0058] 融蝕されたスポットの体積は、約3.2×2.4ミリメートルの最大視野を提供すべく構成されたADE-Phase Shift社のMicroXAM白色光干渉計を用いて決定された。上記スポットは、約14ミクロンの深度を備えた約1.6mm×1.8mmであると測定された。]
[0059] 各レンズ素材の表面を融蝕するために、該表面はひとつ以上のゼルニケ多項式により表現された。レンズの各光学表面は多くの場合、該レンズの頂点を通る平面からの軸心方向に沿う局所的距離を表す各光学表面の局所的サジタル高さ、すなわち、“サグ(sag)”により記述される。一例として、表面の曲率半径をゼルニケ値としての同等の表現に変換することは、近軸レジームにおいて以下の様式で達成され得る:]
[0060] ]
[0061] 式中、
Z3は、度数に対応するゼルニケ項(ここでは第3項)を表し、
rmaxは、表面の最大半径を表し、且つ、
RCは、表面の曲率半径を表す。]
[0062] ゼルニケ多項式に対し、および、此処で度数項としてZ3と表されて使用される付番方式に対しては、幾つかの異なる定義が在る。+1Dの融蝕に対しては、0.0034834のZ3項が採用された。該Z3項は、+2Dの融蝕に対しては0.0069668へと倍増された。−1Dおよび−2Dの融蝕に対しては、夫々、−0.0034834(マイナス0.0034834)および−0.0069668(マイナス0.0069668)の値が使用された。最初、0.000056mm3のVPSに対応すべく単射パターンが生成され、これは、上記4種類のジオプトリ度数の各々に対して期待された結果の約70%を呈する融蝕済みレンズ素材に帰着した。0.000045mm3のVPS値を用いて更なる単射パターンを生成したところ、図9に示された如く、期待された結果の90%を超えるジオプトリ変化に帰着した。これらの結果が与えられたとすると、厳密な度数変化は、0.000043mm3のVPS値を利用することで達成可能であると期待される。] 図9
[0063] 上記干渉計にて、未融蝕の3個のレンズ素材の表面プロファイルが測定されると共に、各ゼルニケ係数に関して表現された。融蝕により非点収差を減少するための単射パターンが生成され、上記レンズ素材に対して適用された。融蝕によれば、全ての3個のサンプルに対し、6mmの表面の全体に亙り約1本の縞まで収差が減少された。]
[0064] 先在する非点収差を上述の様式で除去した後、2枚のレンズ素材サンプルが融蝕され、高次のトレフォイル収差(此処で使用された上記ゼルニケ付番方式に対するZ18)が試験された。最初、Z18値を0.0005もしくは−0.0005のいずれかに設定することにより2枚のレンズ素材サンプル上に2つの純粋な高次のトレフォイル・パターンが作成された。一方のサンプルは正のパターンにより融蝕されてから、融蝕済み表面に対応する各ゼルニケ係数の値が干渉計測的に測定された。次に、それらの係数に基づいて修正用融蝕パターンが生成され、上記表面に対して適用された(非対称誤差の数本の縞が残存した)。第2のサンプルは、正のパターンで、次に、該サンプルをLADARVision基台から取り外さずに負のパターンで融蝕された。上記第2サンプルは1本以内の縞に修正されたことが観察された。一定の場合に上記レンズ素材は、初期度数融蝕の後で表面不均一性を修正すべく更に融蝕された。一例として、ひとつの場合、初期の(−1Dの)度数融蝕の後で表面誤差が測定され、且つ、該表面誤差は引き続く融蝕により約2.8〜約1.6ミクロンに減少された。]
[0065] 実施例4
先在する収差を呈するAcrysof(登録商標)Naturalレンズ素材が、1.35mJのエネルギにて上述のLADARVisionシステムを利用して融蝕され、上記収差が除去された。上記融蝕は、6mm直径の瞳において実施された。上記融蝕の以前における上記レンズ素材の最高最低差(P-V)誤差および二乗平均(RMS)誤差は夫々、2.42ミクロンおよび0.46ミクロンであった。融蝕後における上記レンズ素材に対する夫々のパラメータは0.74ミクロン(P-V))および0.17ミクロン(RMS)であり、約3倍の向上を示した。少なくともひとつの他の場合、先在する収差は実質的に除去された。]
[0066] 当業者であれば、本発明の有効範囲から逸脱せずに上記実施例に対して種々の変更が為され得ることを理解し得よう。]
[0067] 10フローチャート
12 開始ポリマ鋳型/鋳型ウェハ
14凹状表面/開始表面
16 システム
18エキシマ・レーザ
20レーザビーム
22サンプルホルダ
24 X-Y並進載物台
24a、24b真空ライン
26 開始レンズ素材
26a前部表面
26b後部表面
28 鋳型]
权利要求:

請求項1
患者の眼球の1あるいはそれ以上の収差を測定するステップと、各測定値に基づいて鋳型ウェハに対する少なくとも1つの表面プロファイルを決定するステップと、鋳型ウェハの少なくとも一方の表面を融蝕し、その表面に対してプロファイルを付与するステップと、鋳型を利用し、患者の眼球内への埋込みに適したIOLを作製するステップとを含む、眼内レンズ(IOL)を作製する方法。
請求項2
鋳型ウェハは、ポリマ材料で形成される、請求項1記載の方法。
請求項3
前記ポリマ材料は、ポリプロピレンから成る、請求項2記載の方法。
請求項4
融蝕ステップは、各々が約100mJ/cm2より大きい流束を有する一個以上の融蝕用放射線パルスを鋳型の表面に対して印加するステップを備えて成る、請求項3記載の方法。
請求項5
IOLは、アクリル、ヒドロゲルおよびシリコーンから成る群から選択されるポリマ材料で形成される、請求項1記載の方法。
請求項6
ポリマ材料は、Acrysof IIから成る、請求項5記載の方法。
請求項7
各パルスは、約100mJ/cm2〜約800mJ/cm2の範囲内の流束を持つ、請求項5記載の方法。
請求項8
鋳型ウェハ又はIOLのいずれかは、発色材料で形成される、請求項1記載の方法。
請求項9
発色材料は、Acrysof NaturalまたはAcrySof II Naturalから成る、請求項8記載の方法。
請求項10
患者の眼球の1あるいはそれ以上の収差を測定するステップと、患者の眼球内への埋込みに適したIOLのための1あるいはそれ以上の表面プロファイルを決定するステップと、各表面プロファイルを有するIOLを作製すべく、ポリマ材料で形成された基材を融蝕するステップと、を含む、IOLを作製する方法。
請求項11
Acrysof(登録商標)、ヒドロゲルまたはシリコーンの如きポリマ材料はIOLとして使用され得る、請求項10記載の方法。
請求項12
ポリマ材料は、Acrysof(登録商標)であり、且つ、融蝕ステップは、Acrysof(登録商標)表面を、約10mJ/cm2〜約600mJ/cm2の範囲内の流束における融蝕用放射線に対して晒すステップを含む、請求項11記載の方法。
請求項13
ポリマ材料は、Acrysof IIである、請求項11記載の方法。
請求項14
流束は、約200mJ/cm2〜約500mJ/cm2の範囲内である、請求項11記載の方法。
請求項15
IOLを患者の眼球内に埋込むステップを更に含む、請求項10記載の方法。
請求項16
IOLは、発色材料で形成される、請求項10記載の方法。
請求項17
発色材料は、Acrysof NaturalまたはAcrySof II Naturalから成る、請求項16記載の方法。
請求項18
ポリマ基材の表面に対して所望のプロファイルを付与すべく該表面に対して複数個の融蝕用放射線パルスを印加するステップと、表面プロファイルを測定し、1あるいはそれ以上の表面不均一性を決定するステップと、表面不均一性を減少すべく表面に対して一個以上の修正用融蝕パルスを印加するステップとを含む、基材を融蝕する方法。
請求項19
測定された表面不均一性が所望のスレッショルド値より小さくなるまで、反復的に、表面プロファイルを測定し且つ表面に対して修正用融蝕パルスを印加するステップを更に備えて成る、請求項18記載の方法。
請求項20
基材は、眼球用レンズから成る、請求項18記載の方法。
請求項21
眼球用レンズは、IOLから成る、請求項18記載の方法。
請求項22
基材は、レンズ素材から成る、請求項18記載の方法。
請求項23
基材は、鋳型ウェハから成る、請求項18記載の方法。
請求項24
基材は、軟質ポリマ材料で形成される、請求項18記載の方法。
請求項25
ポリマ材料は、融蝕用放射線に対して晒されたときに潜伏性を呈する、請求項24記載の方法。
請求項26
ポリマ基材の表面に対して所望のプロファイルを付与すべく、該表面に対し、パターンに従う複数個の形状化融蝕用放射線パルスを印加するステップと、引き続き、表面不均一性を減少すべく、所定パターンに従う一個以上の修正用融蝕パルスを上記表面に対して印加するステップとを含む、基材を融蝕する方法。
請求項27
形状化用融蝕パルスに対して晒された別の基材の表面プロファイル誤差の測定に基づき、修正用パルスのパターンを決定するステップを更に含む、請求項26記載の方法。
請求項28
(a)基材の表面の複数の領域に対して複数個の融蝕パルスを印加するステップと、(b)各パルスの印加の完了に続く選択期間に引き続き、表面の複数の領域に対して複数個の融蝕パルスを印加するステップとを含む、基材を融蝕する方法。
請求項29
表面の所望のプロファイルを実現すべく、ステップ(a)および(b)を反復するステップを更に備えて成る、請求項28記載の方法。
請求項30
パルスの各々は約600mJ/cm2未満の流束を有する、請求項28記載の方法。
請求項31
融蝕用放射線に委ねられたときに潜伏性を呈する基材を準備するステップと、基材の表面に対して所望のプロファイルを反復的に付与すべく、複数の作動期間の間において表面に対して融蝕用放射線を印加するステップとを含む、基材を融蝕する方法。
請求項32
各作動期間の間において表面に対して複数個の融蝕パルスが印加される、請求項31記載の方法。
請求項33
融蝕パルスは、基材が形成される材料の1あるいはそれ以上の特性に基づいて決定されたスレッショルド値より小さい流束を有する、請求項32記載の方法。
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